横浜・ごみを考える連絡会


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〈2004年5月15日〉

栄工場のゴミを考える会 横浜市への予算要望と市からの回答状況

 以下は、沢山の方々のご協力で実施できた土壌調査や報告会に加え、頻繁に情報公開で入手した資料を基に、関連団体である、栄工場のゴミを考える会が03年11月17日、環境事業局・保全局・港湾局・教育委員会へ提出した要望書です。
 要望書の全文、横浜市からの回答の要旨、横浜市の回答に対する問題点の順に掲載します。
 長文で申し訳ありませんが、会の活動の本質をご理解いただけると思いますのでご一読ください。

 

予  算  要  望  書

 中田市長は「横浜から日本を変える」実現例の筆頭に「横浜G30プラン」をあげ、ごみ排出量の30%削減を達成し、わが国のごみ問題やライフスタイルを横浜から変えていきます、としています。
具体的には、焼却工場や最終処分場に巨額の税金を投入してきた焼却・埋立処分中心の政策を改め、ごみの減量化・資源化を強力に推進することで栄工場の改修工事をストップ、約530億円を要する南本牧廃棄物処分場は貴重な海を必要以上に埋め立てることがないように延命をはかっていくと明言しています。ところが新市長が就任したばかりの平成14年5月、環境事業局は新規処分場の確保として南本牧第5ブロックの基本調査費用1億1,500万円の補正予算要求書を提出。環境保全局と港湾局も名を連ね、減量化・資源化しても安定的かつ適正に処理・処分するために必要との理由です。
新しく就任した首長の意向を全く無視した,一局の立場で巨額の公共事業の推進を決定したに等しい行為と言わざるを得ません。しかも現在に至ってもこの傾向は改められるどころか、第5ブロック新処分場事業として方法書作成のための調査は、殆ど終了しアセスへ突入寸前です。
「あと5年で満杯」と言っている第2ブロックは10年で一杯になる筈でしたが、15年後の今もまだ半分も埋まっていません。環境アセス書(昭和63年)の廃棄物処分計画には、過大な覆土用の公共残土が開設初期に投入する予定になっていたり、全ブロックに廃棄物が埋立てられる計画でした。平成14年度現在で残土の搬入量はゼロ、第2ブロック以外に廃棄物は埋立てられなかったという事ですが、証拠書類は開示がないままです。これでは今春、発覚した第2ブロック以外の吐口からの高アルカリ、高濃度SS汚水漏れの原因を、廃棄物の埋立てによるものとの疑いを市民は払拭できません。
 いずれにしても、前途多難な中田市長の変革への挑戦を市民は支持し協力を惜しまないでしょう。

要望項目

T.不要不急の公共事業である「南本牧第5ブロック新規最終処分場計画」は見直しが必要。
環境アセスメントを準備する前に必要性を問うパブリックコメント等を実施してください。

 新規廃棄物最終処分場基本計画調査委託報告書(環境事業局・同保全局 平成15年3月)によれば、横浜市は平成12年度に新規最終処分場適地選定調査を実施し、既存海面処分場である南本牧ふ頭第2ブロックの沖合にあたる第5ブロックを適地候補として選定する調査結果を得ているとしています。
報告書によると横浜市は環境アセスに必要な【方法書】の策定も検討済みで、ア〜ウのような事業計画の主たるフレームの基礎資料となる基本調査が本報告書の位置付けだそうです。
  ア.廃棄物護岸整備にあたる技術的な調査や工法の決定
  イ.埋立て予定量、埋立て期間、埋立て工法等の決定
  ウ.環境アセスメントの実施による環境評価の策定
新規最終処分場等の重要事業を市民の知らぬ間に行政主導で推進するのは誠に遺憾です。環境アセスの前に十分な資料を提示してのパブリックコメント等、必要性を市民に問うところから始めるべきでしょう。貴重な海を安易に埋立てないとした市長の意志も尊重されているとは思えません。


<時期尚早と思う理由>
1. 埋立て実績量からみて第2ブロックはまだ半分も埋まっていません。覆土用の公共残土量が過大に見積もられていることも改めて指摘しておきます。
(埋立て容量 6,475千m3 平成14年度までの搬入実績 2,980千m3 計画覆土量 2,175千m3)
2. 新規処分場計画は「横浜G30プラン」のように明確に減量計画を打出す以前の計画です。
3. 平成9年から13年度の最終処分量実績は南本牧と神明台合せて36〜43万トンで推移しています。10年後の最終処分量を4万dまで減量するとしている「G30」は緒についたばかり。今から失敗した時の受け皿づくりが不要なことはむろん、逆に産廃を増やす受け皿となりかねません。
事実、年度別廃棄物受入実績によれば、平成11年度までは横ばいだった受入量が新規処分場計画が具体化したと思われる平成12年度に、産廃が激増したために全体量が跳ね上がりました。
新規処分場の埋立容量400万m3の一廃と産廃の割合は38:40で産廃の方が多い。
計画原水質の基準値を見る限りでは公共工事で発生する建設副産物の性状は楽観視できません。
  膨大な量の産廃を上限もなく格安の手数料で公共施設に受入れる根拠と制度の是正を求めます。

4. 第5ブロックの外周護岸H−1は海底の地形が複雑で世界にも類を見ない大深度。技術的にも有害な廃棄物を大量に投入して長期間(50年間)安全な護岸を維持できるとは思えません。
既に第1・第3ブロックの外周には10aも間隔が開いてしまったケーソンを複数確認しました。

 

≪横浜市からの回答 ‐平成16年2月13日− ≫  (*要旨をまとめました)

 横浜市では、焼却・埋立を中心とする廃棄物物対策からの転換を図り、循環型社会を構築するために、審議会からの答申を受け、横浜G30プランを策定しました。
答申は広く市民意見の募集をおこなってまとめられ、最終処分場については、「埋立量の削減方策の進捗状況を見極めながら、長期的視点にたって処分場を確保していく必要がある」と安定的な確保が求められています。「横浜G30プラン」では、徹底的なごみの減量化・資源化、焼却灰の再利用を進めても、なお残る焼却残さ等を長期安定的に埋立処分していくために、南本牧第5ロックに新規処分場の確保を位置付けています。今後、環境アセスメントの中で処分場の必要性や環境保全対策等を記載した関係図書の公告・縦覧・説明会の開催等を行い、広く市民の意見を伺いながら進めます。

☆新規処分場の必要性について
現在(平成15年9月末)の処分場残容量は,神明台が約75万m3、南本牧第2ブロックが約80万m3で、G30プランで減量・資源化、既存処分場を有効活用しても平成26年ごろには一杯になる見込みです。.
☆ 産業廃棄物の受入について
市内民間産業廃棄物処分場の残余量が逼迫している一方、新たな処分場の設置が大変困難な状況にあるので、事業者に対して産廃の発生抑制等の指導や啓発を行っていますが、それでもなお発生する市内の公共事業による産業廃棄物や市内の中小企業から排出される産廃の適正処理を確保する観点から、公共関与による最終処分場を設置しているところです。
平成12年度に受入が増加した理由は、磯子ポンプ場雨水滞水池工事やMM21線地下駅工事により一時的に大量に排出されたため。
☆ 護岸の安全性について
新規処分場計画は第5ブロックの既設護岸の内側に安全性・信頼性・確実性が高く経済的な遮水性構造物を作り、管理型処分場とするもので、この分野を代表する専門家等の助言の基に検討を進めています。
なお建設発生土を対象とするケーソンはケーソン間に必要な目地を設け現地据付を行います。目地は砂防目自材、砂防シートを敷設するので土砂は漏出しない構造になっています。
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U.港南工場の稼働を早急に中止してください。   (*当会の要望)
 1.周辺にすむ市民の健康上の理由から
   市内の工場で最も古い港南工場にのみバグフィルターが付けられないのは何故でしょうか。
横浜市では喘息罹患率(学校保健実態調査)の高い上位12校のうち、半数以上はごみ焼却場が集中する南部地域の小中学校によって占められています。
ところが、栄工場と今泉クリーンセンター(鎌倉市)の休止に伴い風下に住む子どものぜん息が激減しています。野七里小と上郷南小学校は14年度からゼロ、庄戸中学校は11%から4%に激減。
桂台小学校は16%から9%に、11・12年度145校中でトップだった小山台中学校は、15年度は13%から6%に減りました。
どの学校も周辺にはごみの焼却場以外に汚染源など全く見当らない自然環境に恵まれた閑静な住宅地の学校です。この傾向は近くにあるその他の小中学校も同様です。
ごみの焼却による大気汚染が減ると、良い環境に転地したと同じ結果になることが推測されます。
            <*横浜市学校保健(児童生徒疾病等傾向)実態調査より作表 参照>
 2.港南工場の稼働は横浜市の財政を圧迫していませんか。
   平成13年に実施された港南工場機能機密検査にそれば、近年は年間150回も事故を起こし   
  ており、30年間の累積補修費は180億円にも達しています。築30年の老朽施設は部品さえ    
  保存期限を過ぎて在庫の無い部品も多々あるような現状での運転は、決して適正な施設運営と    
  は言えません。早急に休止の方向で検討されるよう要望致します。

≪横浜市からの回答 ≫
 港南工場では排ガス処理にバグフィルターを使わず電気集じん機を採用していますが、適正な運転管理を行っており、排ガス中のダイオキシン類等の測定結果は基準値以下です。今後とも法令を遵守し、運転管理に万全を期します。
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V.今泉クリーンセンター(鎌倉市)の再開中止を鎌倉市に要請して下さい。 (*当会の要望)
   今泉クリーンセンターの風下にある栄区は子どものぜん息や大人の体調不良が多発しています。
  今泉クリーンセンターは港南工場の1年前に建設、30年間の使用で老朽化した施設はダイオキシン類の基    
  準値をクリアーできず、昨年の12月から休止しています。過去には地元に廃止の約束をしてい  
  た今泉炉がごみ半減計画の失敗を理由に再開されることになりました。
2炉のうちの1炉を撤去し、最も工期が短く安価な改修を施しての再開計画に対して地元の栄区と今泉台の連合町内会、市民運動団体は反対しています。
横浜市の大規模焼却場に比べれば小規模の日量75tを1炉稼働させるだけ、バグフィルターも設置すると聞いても少しも安心できないのは、連続焼却炉とは名ばかりの2週間毎に3日止める工場で、栄工場の1割以下の焼却量ながらダイオキシン類や重金属の総量は栄のそれを上回っていました。      
   1キロメートル風下に立地する桂台小学校では、平成12年度の喘息の子どもの数が南舞岡小学   
  校に次いで370校中の2位(19.7%)でした。ところが、平成15年度は9%に激減しました。     
  今泉炉が焼却を止めて4ヵ月、正確には南風の時だけ今泉炉の影響を受ける桂台地域は、南風に
 変わる前の4月に健康調査が行われたため、排ガスの影響を受けなかった期間は7ヵ月程度になり
 ます。短期間に子どもの体調が目に見えて改善するとは予想をはるかに越えており、劣悪な工場で
 燃やされる少量のごみによる害の大きさに驚きました。
今年8月に横浜市内全域から135ヶ所(一部鎌倉市・平塚市含む)の土壌を採取し、鉛濃度を測
 ったところ、栄工場と今泉クリーンセンターの風下で、3年前と同じ調査地点は一様に約10μgずつ数値   
 が下がっていました。この調査結果からもごみ焼却による汚染の実態が明かになりました。
 今泉炉の再開は折角改善されつつある横浜・鎌倉両市民の健康を再び害うものです。
 横浜市としては、風下の横浜市民への健康被害が懸念される問題であり、他市のこととして鎌倉市
 の改修計画を看過はできません。その内容を十分精査検証し、厳しく意見を提起していただく一方   
 再開中止を要請して下さい。

  ≪横浜市からの回答 ≫
今泉クリーンセンターでは法令基準以上の厳しい排ガス基準を自主的に設けて操業すると聞いています。                          
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W.教育委員会による市立学校保健(児童生徒疾病等傾向)実態調査の保存年限を永年にし、電算化    
  による統計管理とぜん息罹患率の高い学校の原因を究明して下さい。
   (*当会の要望)
  現在の保存年限は3年と短く、電算処理もされていないため一度失われたデータは再び活用で         
 きません。平成11年度から14年度のぜん息児童生徒の実態を整理して見たところ、ぜん息の子    
 どもの多い学校と少ない学校がはっきり分れることがわかりました。
 ごみの焼却場や処分場、工場の側近と、風下の高台の学校に多発していることが分りました。
    *資料添付 横浜市学校保健(児童生徒疾病等傾向)実態調査(~5・11・12・13・14年度)


 ≪横浜市からの回答 ≫
 横浜市学校保健(児童生徒疾病等傾向)実態調査については県の依頼を受けて各学校の調査票を取りまとめ提出しています。県では調査票を5年間保存していますので必要な場合はご照会ください。
ぜん息は様々な原因が考えられ、原因の究明は非常に困難であると思われます。
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☆みなさまのご感想はいかがでしょうか?
 南本牧第5ブロックに新設しようとしている処分場(予算約320億円)について、今秋にも予定
 されている環境アセスで、資料を提示してその必要性から議論するとした点は評価できます。
 中田さんが市長になって始めての大型公共事業に対するアセスではないかと思います。
 今までの「あわせメント」との違いを大いに期待したいものです。

 

☆ 以下に問題点を整理して見ました。
1. 現在埋立中の第2ブロックの残容量を80万m3としているが、計算が合わない。
埋立実績から試算すると平成26年の段階での残容量は95万m3もあります。
新しい処分場を作るよりも、ゴミを減らして第2ブロックを大切に使ってゆくべき。
 南本牧処分場は実績から試算すると平成14年現在、まだ半分も埋まっていません。海に囲いを作り   
 ゴミを投入しているため、ゴミは水面下に沈んで見えない事を良いことに@最近になって残余量が少 
 ないことが判ったA当初の埋立容量の計算が甘かった、などと行政は言うのですが、信じられます?
 工事前に専門業者による詳細かつ慎重な調査がなされ、残余量の調査は毎月されてきたというのに。

2. 中田市政では10年後を心配して今年、環境アセスを実施する必然性がまったくない。
南本牧処分場はアセスから第2ブックは5年後、それ以外の残土処分場は3年後に開設されている。
  新処分場は既設の第5ブロックの中に枠を作る構造のため、さほど長期の工事期間は考えられない。
 高秀市長時代の過大なゴミ増加予測を基にして、13年度までに環境アセスための調査はほとんど  
 終っている。市長交替という大番狂わせがなければ14年には方法書の縦覧・説明会の筈でした。

3. 港南工場がバグフィルターなしで排ガス基準値をクリアーしているという。ならば、膨大な費用を使った5工場の設置は何だったんだろう?

4. 県の子どものぜん息等のデータは、保存期限は5年でも各学校のデータ−は公表されません。



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